その商品は本当にダメなのか?

前回と関連した話です。
前回は、「お客様に迷惑をかける商品なんか売る必要はない」という話でした。

ただ、この話にはぜひ理解しておいていただきたいポイントが有ります。
【本当に】その商品が迷惑をかけるようなものなのか、ということを徹底的に考えて結論を出すことです。

僕もいまでもそうですが、営業パーソンはいつの間にか視野が狭くなっていきます。

僕も今でもそうですが、商品を知れば知るほど、営業パーソンの視野はかなり狭くなっていくことがあります。営業に限らず、仕事を始めて、慣れていくほど、その状態が当たり前になり、自分と他人が同じように考えていると思い始め、視野が狭くなっていく場合があります。
それが危険だなぁ、と感じます。

言い換えれば、自社の【商品の欠点ばかりが目についてくる】ということです。

そこを自覚していないと、客観的に見て、他社製品とあまり差のない性能や品質の商品でも、極端に劣っているように感じてしまうことが少なくありません。

極端な方は、品質や性能が業界No.1でないといけないと思ってしまうわけです。
本当は2番でも、5番でも結構お役に立つにもかかわらず、です。

そういう偏見を持たずに、本当に商品の価値を見極めていると言い切れますか?

こういう感覚を身に着けていないと、自社製品が極端に劣っているように感じてしまうことが少なくありません。
僕も正直、特に若いころはそうしたワナにハマりまくりました。

弱い営業パーソンは、自社商品の欠点を自分の力量不足の言い訳にします。そして、いつしかその言い訳の材料をあたかも事実であるかのように、自分自身が信じ始めるのです。

客観視ができなくなっていくわけですね。妄想と現実の区別がつかなくなっていく、ということです。

では、そのためにどうしたらいいのか。自社製品と他社製品の性能差など、お客様の目から見て、多くの場合五十歩百歩の違いしかない、という立ち位置から考えることです。
(一部の劣悪商品や詐欺商品は除きます。また、稀に革新的商品が開発されることもありますが、すぐに他社に追いつかれることがほとんどです)

そして、誤解を恐れずにいうと、お客様の大半は素人なのです。そして必ずしも目利きになることを望んでいるわけではありません。

たとえば、トヨタとホンダのハイブリッドカーの性能差は、専門家やマニアが見れば一長一短ををきちんと説明できます。
細かい部分にどれほどメーカーが力を入れて生産しているかもわかると思います。

しかし、多くのユーザーは同じハイブリッドカーというくくりでとらえるのではないでしょうか?

また、一見五十歩百歩の機能に見えても、実はそこに重大なノウハウの差があったりする。
メーカーが意識して力を入れていない部分でも、意外とお客様の役に立っている機能があったりする。

こうしたことをきちんと認識したうえで、お客様に実感を持って捉えていただけるかどうか。
これが、営業パーソンの腕の見せ所であることも忘れずにいてくださいね。

ここまでして、ようやく、「売らない方がいい商品」と定義できるのだと思います。
こういう判断をバランスよくできるようになることが成長なんだと思います。

そして、本当にご迷惑をかけるような商品(または機能)だったとしたら。
その製品と別の何かを組み合わせることで新たな価値を作れないか。何か別の使い方にシフトすることで、有効活用できないかなども必死で考えます。単純に使い方によっては十分使える場合もあります。

この場合、お客様の使い方やご要望をきちんととらえているかどうかという営業側の問題があります。

そのうえで製品の改良が早急に必要であることを、上層部や開発部門に様々な角度から訴えます。
こうしたときも、あなたの判断のバランスが偏っていると、伝わらないことが往々にしてありますね。
さらに、あなたがお客様に「こういう理由で今回、この商品ははお勧めしません」と一言でもいいからお伝えすることが必要です。

黙って身を引いても、相手に誠意が伝わりません。
売れない営業パーソンには、こうしたちょっとした行動が不足しているケースが多いようにも感じます。

(写真は山形県月山付近。まだ雪がありますね~)